競馬場のパドックで馬を見ていると、口の周りに白い泡をつけている馬を見かけることがあります。
初めて見ると、
「ずいぶん泡を吹いているけど大丈夫?」
「体調が悪いのでは?」
と心配になるかもしれません。
テレビ中継でも口元がアップになると結構目立ちます。
ところが、競走馬の口元に白い泡があるからといって、それだけで異常とは限りません。
では、あの白い泡はいったい何なのでしょうか。
白い泡の正体は主に「唾液」
競走馬の口元についている白い泡。
その正体は、主に馬の唾液です。
人間の唾液は普通は透明なので、
「どうして真っ白になるの?」
と思いますよね。
馬が口を動かしたり、ハミを噛んだりすることで唾液に空気が混ざります。
すると唾液が泡立ち、白っぽく見えるようになります。
石けんを使っているわけでも、何か白い液体を飲んでいるわけでもありません。
「ハミ」が口の中に入っている
競走馬には「ハミ」と呼ばれる馬具が使われています。
ハミは馬の口に装着する金属製の道具で、手綱を通して騎手の指示を馬に伝える役割があります。
馬がハミを口の中で動かしたり噛んだりすれば、当然ながら口の中も動きます。
その結果として唾液が出て、泡立ったものが口の外まで出てくることがあります。
パドックを歩いている段階ですでに白い泡を出している馬がいるのは、このためです。
白い泡が多い馬は「調子がいい」?
ここで馬券を買う人なら気になることがあります。
「泡を出している馬は調子がいいのか?」
ということです。
競馬では馬の口元やハミの取り方が状態を判断する材料のひとつとして語られることがあります。
ただし、
「白い泡が多い=好調」
と単純に考えるのはおすすめできません。
唾液の量には個体差がありますし、ハミの種類や馬の癖などによっても口元の状態は変わります。
いつも泡をつけている馬もいれば、それほど目立たない馬もいます。
「泡が出ているから買い」
「泡がないから消し」
というほど簡単なものではありません。
よだれが多ければ多いほどいいわけでもない
さらに注意したいのが、「泡」と大量のよだれを同じように考えないことです。
適度に唾液が出て口元に泡がついている状態と、口から大量の唾液を垂らしている状態では見た目も違います。
馬の口元だけを見て健康状態を断定することはできません。
いつもの状態と明らかに違う場合には、単純に「泡が出ているから好調」と考えない方がいいでしょう。
これはパドックを見るときにも重要です。
パドックでは「その馬の普段」と比べたい
パドックで馬を見るとき、ついつい
「汗をかいているからダメ」
「落ち着いているから買い」
「泡を吹いているから調子がいい」
といった分かりやすい判断基準を探したくなります。
しかし、馬にはそれぞれ個性があります。
汗をかきやすい馬もいますし、いつもチャカチャカしている馬もいます。
口元も同じです。
そこで役に立つのが、過去のパドック映像との比較です。
前走も同じように白い泡を出していたのなら、その馬にとってはいつもの状態なのかもしれません。
逆に、普段と大きく違う様子なら少し気になります。
一回だけを見るよりも、「いつもの○○」を知っている方がパドックを見る楽しみは増えていきます。
レース中にも泡が増えることがある
パドックではそれほど目立たなかったのに、レース後には馬の口元が真っ白になっていることもあります。
レースでは騎手が手綱やハミを使って馬とコミュニケーションを取りながら走ります。
馬自身も激しく運動しています。
そのため、レース後には口元の泡がかなり目立つことがあります。
テレビでゴール後の馬がアップになったときに、
「口からすごい泡が出ている!」
と驚くことがありますが、白い泡があること自体は珍しい光景ではありません。
汗で白くなっている場合もある
もうひとつ紛らわしいものがあります。
それが「汗」です。
競走馬の首や胸、脚の付け根などを見ると、汗が白く泡立っていることがあります。
こちらは口から出た唾液とは別物です。
馬の汗にはラセリン(Latherin)というタンパク質が含まれており、汗が泡立つことがあります。
特に汗を多くかいている馬では、馬体に白い泡のようなものが目立つことがあります。
つまり、
口の周りの白い泡 → 主に唾液
馬体についている白い泡 → 汗が泡立ったもの
と、場所によって原因が違うことがあります。
「泡を吹く」という言葉のイメージとはかなり違う
日本語では「口から泡を吹く」というと、かなり危険な状態を想像します。
そのイメージがあるため、競走馬の口元が白くなっていると余計に心配になるのかもしれません。
しかし競馬で日常的に見かける口元の白い泡は、唾液がハミや口の動きによって泡立っている場合があります。
競馬を始めたばかりの頃には不思議に感じる光景ですが、理由を知ってからパドックを見ると印象が変わります。
まとめ
競走馬の口元についている白い泡の正体は、主に泡立った唾液です。
ハミを口に入れている競走馬は口を動かすため、唾液に空気が混ざって白い泡になることがあります。
そのため、
「白い泡がある=病気」
というわけではありません。
一方で、
「白い泡が多い=絶好調」
と決めつけるのも禁物です。
競走馬にはそれぞれ癖や個体差があります。
次に競馬場へ行ったときやパドック中継を見るときは、馬体だけではなく口元にも注目してみてください。
「この馬、前走も同じような口元だったな」
そんなところまで分かるようになると、パドックを見るのが今まで以上に面白くなってきます。


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